今回はお問い合わせや、実際の輸送サポートのご依頼の多い、ワイン輸入販売の【最速スケジュール】についてご説明させて頂きます。
1. 各種申請・登録
法人としてワインの輸入販売を行うには、先ず法人登記が必要となります。
諸事情により前後することは考えられますが、ここでは10日としてあります。
続いて酒販免許の取得が必要です。一般的には行政書士に相談及び申請の代行を依頼することになります。
申請書の作成から税務署の審査期間と、スムーズに進められたとしても約3カ月掛かる為、早めに進めることをお勧め致します。
酒販免許の種類は下記の通りです。
① 一般酒類小売業免許(一般消費者や飲食店などに販売する場合)
② 通信販売酒類小売業免許(ネットなどの通信販売で販売する場合)
③ 輸入酒類卸業免許(酒類業者に販売する場合)
※輸入時に酒販免許の提示を求められます。
2. ワイナリーとのやり取り
各種申請手続きを進めながら、同時進行でワイナリーと交渉を進めていきます。
先ずは輸入ワインの選定、そして発注(決済)という流れになります。
発注数、納期、単価、支払条件等を詰めながら交渉を進めていきます。
また輸入時に必要な、公的機関が発行した分析成績書(英文)を提出してもらう必要があります。
分析成績書には①アルコール度数、②二酸化硫黄の残留値、ソルビン酸の残留値が記載してある必要があります。
分析成績書だけで輸入出来る場合もありますが、「成分表(イングレ=Ingredient)」と「製造工程表」を求められる場合があるので、最初から入手しておくと安心です。
輸入する本数にもよりますが、商品のパッキング作業にも時間が掛かると予想される為、ここでは1カ月とさせて頂きました。
そして最も時間が掛かるは船便での輸送期間です。
コロナ前はヨーロッパからの船便輸入はDoor to doorで1.5~2.0カ月だったのですが、コロナ発生後は2.5~3.0カ月掛かっております。
この輸送期間も考慮して、早め早めに手配を進めていく必要があるかと思われます。
輸入本数が少なく航空便輸入であれば1週間もあれば到着しますが、大量の商品を航空便で輸入すると高額な輸送費が発生する為、輸送費も確認をしながら輸入量を決めていくことをお勧め致します。
また、高級ワインの船便輸入の場合には、温度調整の出来るリーファーコンテナ(定温コンテナ)を使用します。
ヨーロッパからの船便輸送は、スエズ運河経由で赤道を横断し日本に到着するため、通常のドライコンテナであれば内部温度は約70度にまで上がり、品質変化が懸念されるからです。
続いて貿易条件に関してですが、ヨーロッパからの輸入はEXW(工場渡条件)が一般的ですので、航空便/船便の手配は日本側から行うことになります。
つまりワイナリーは輸出者の義務として輸出に耐えうる梱包をし、倉庫/工場でトラックやコンテナに積み込み、ここで責任は買主へ移転することになります。
また、一般的な流れではワインに貼る商品ラベル(品目、内容量、アルコール度数、原産国、輸入者情報 等)は輸出するタイミングでワイナリー側で貼ることが一般的ですが、ここでは輸入を「最速」で進める為、日本側で貼ることにしています。
3. 輸入及び国内出荷準備
輸入する商品が決まったら、ワイナリーより輸入時に必要な分析成績書を入手し、書類に不備がないか確認を進めます。
不備等があった場合には、輸送中にワイナリー側とやり取りし、条件を満たした書類の入手を致します。
「酒類を輸入する者(酒類販売業者)は、保税地域から引き取る時までに、輸入する酒類の容器の見やすい箇所に、輸入者の氏名又は名称及び住所、その引取先の所在地、容器の容量及び酒類の品目並びに酒類の品目に応じ法令で定められている事項を、容易に識別することができる方法で表示しなければならない」、
とされているので、輸入したワインにラベルを貼る作業が必要となります。また、その前に税関へ商品ラベルの届出をする必要がありますので、ラベルの作成も含め、約1カ月とさせて頂きました。
繰り返しになりますが、一般的な流れではワインに貼る商品ラベルは輸出するタイミングでワイナリー側で貼ることが一般的ですが、ここでは輸入を「最速」で進める為、日本側で貼ることにしています。
商品が日本へ到着し、ラベルを貼り、食品の届出書を検疫に提出し、輸入通関が無事に終われば商品の搬出となります。
一度倉庫へ納品することになると思いますが、別途トラックの手配が必要となります。
また、ワインの保管の為、倉庫の準備も必要となります。
ワインの保管には温度差の少ない場所で、13~15度が最適と言われております。
温度の高い場所はワイン変質の原因となるので、注意が必要です。
その他、入荷した箱のまま国内発送するのか、ギフト用の箱に入れ替えるか、箱の中にチラシ等を入れるのか等、倉庫側とも費用を含め事前確認が必要です。
4. 販売に向けての商品PR
最近はクラウドファンディングを使いワイン輸入する方も増えていますが、酒販免許を持たない時点での受注は出来ません。
しかし販売告知は免許取得前に出来るので、事前にPRをしながら、免許取得後、受注という流れになりますので、注意が必要です。