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国際物流の進め方(インコタームズ・輸送時の注意点など)

2022.02.21
貿易

1. 貿易条件を理解する

先ず、インコタームズ(Incoterms)の以下2つについてきちんと理解する必要があります。(インコタームズ2020年が最新)

(1)費用負担の範囲

(2)貨物に掛かるリスク移転のタイミング

インコタームズとは、国際商業会議所が、貿易条件の解釈に関する国際規則として制定した解釈基準で、1936年に誕生し、その後時代の要求に合わせて修正、追加、削除され今日に至ります。 あくまで法律でも国際協定でもないため、採用するか否かは当事者間の自由でありますが、一般的には使用されます。 実際の貿易取引でよく使用されているインコタームズは下記の通りです。

(1) EXW (Ex Works) 工場渡条件
EXWは、売主(輸出者)の工場や倉庫で商品を買主(輸入者)へ引き渡し、その後の輸送に関する費用やリスクは全て買主が負担する条件。
工場や倉庫から港や空港へ移動するトラックの手配や、状況により輸出梱包の手配も買主が手配する。

(2) FOB (Free On Board) 本船渡条件
FOBは、指定船積港で本船の船上に商品を置いた時点で、買主から売主へ引き渡し義務が完了したと見なされ、その時点で費用負担や危険負担が移転するという条件。
具体的には、売主(輸出者)は、輸出に耐えうる輸出梱包をした上で、港までの輸送手配を行い、輸出通関手続きを終え、本船に載せるまでが責任範囲となる。

(3) CIF (Cost, Insurance and Freight) 運賃保険料込条件
CIFの危険負担の範囲はFOBと同じで、指定仕向港(輸入地の港)までの運送費用(海上運賃)と保険料は売主が負担するという条件。
具体的には、売主(輸出者)は、輸出に耐えうる輸出梱包をした上で、港までの輸送手配を行い、輸出通関手続きを終え、本船に載せ、更に海上保険の手配も行う。

(4) DDP (Delivered Duty Paid) 関税込持込渡条件
DDPは売主(輸出者)が買主(輸入者)の指定場所への輸送費だけでなく、通関費用、輸入国での関税や消費税(付加価値税 等)も含め、全ての費用を負担する条件。
売主の負担が大きく、買主の負担が小さいのが特徴で、国際宅配便輸送等で多く利用される条件。

※ヨーロッパ諸国からの船便輸入の場合はEXW条件、中国からの船便輸入の場合はFOB条件が多い。

2. 輸送方法の種類を理解する

国際輸送には船舶、航空機、鉄道、トラック等さまざまな輸送手段が利用され、取引される貨物の内容、大きさ、重量、数量、時間、経費等を検討して、最適な輸送方法を選択します。
比較的大きな商品(貨物)を輸出入する場合には、船便によるコンテナ輸送が一般的です。

20フィートコンテナのサイズは 約W2300mm x H2350mm x L6000mm なので、積載可能容積は約32.00m3ですが、貨物の形状等があるので、実際には25.00m3前後が目安となります。

40フィートコンテナのサイズは 約W2300mm x H2350mm x 12000mm なので、積載可能容積は約65.00m3ですが、貨物の形状等があるので、実際には55.00~60.00m3が目安となります。

その他、ハイキューブコンテナという少し背の高いコンテナがあり、サイズは約W2300mm x H2700mm x 12000mm で積載可能容積は約75m3ですが、貨物の形状等があるので、目安は65.00~70.00m3となります。
※ハイキューブコンテナを持たない船会社や、持っていても料金がアップする会社も有るので、予約を入れる前に確認が必要です。
その他、食品・高級ワイン・医療品・美術品 等を輸送する為に、コンテナ内部に冷却装置を付け、温度調整出来るリーファーコンテナもありますが、当然通常のドライコンテナより海上運賃は高めになります。
また、一般的に航空便より船便の方が安いというイメージがありますが、容積や重量によっては、航空便の方が安くなる場合があります。
また、100kgや150kg程度の貨物であれば、国や地域にもよりますが、国際宅配便が一番安くなる場合があります。
最適な輸送手段を選定する事で、大幅なコストダウンにも繋がります。

3. 輸出梱包の種類を理解する

国際輸送では国内輸送と比較し、輸送距離や輸送時間が長く、輸送途上の事故のリスクが高くなります。
その為、売主(輸出者)の義務として、国際輸送に耐えうる梱包(パレット梱包/木枠梱包/木箱梱包/真空梱包 等)が必要となります。
輸送中に商品に傷が付いた場合、貨物海上保険を付保していても、「国際輸送に耐えうる梱包」だと保険会社に判断されなかった場合は、保険金が支払われないので充分に注意が必要です。
特に複数の顧客から荷物を集めて1本のコンテナに積み合わせる混載貨物の場合は、傷が付き易くなる状況なので、頑丈な梱包をした上で貨物保険に入ることが一般的です。
※船便の輸送期間は、アジア諸国の場合はDoor to doorで3~4週間程度、ヨーロッパ諸国の場合は、コロナ前でDoor to doorで1.5~2.0カ月、コロナ発生後は2.5~3.0カ月も掛かっている状況。

4. 梱包材にも注意する

木材の病害虫が輸入貨物の梱包材に付着して国内に侵入することを予防するため、海外から輸入される貨物の木製梱包材に燻蒸等の消毒処理を義務付けています。(木製梱包材規制)
日本、EU、オーストラリア、米国、カナダ、韓国等 80カ国で要求されており、今後益々この動きは広がっていきます。
燻蒸処理をされていない梱包材*を使用した場合、税関で止められ、輸出入出来ない場合もあります。
また、上記の理由から、特に規制のないプラスチックパレットが主流になってきています。

*貨物を輸出する場合、その貨物の木材梱包材に病害虫が付着し、輸入国に病害をもたらすことを予防するため、EU、米国、カナダ、韓国、オーストラリア等80カ国以上で、木材梱包材について植物検疫措置に関する国際基準ISPM No.15「国際貿易における木材こん包材の規則」(「国際基準」)に即した消毒、表示等を輸出国で行うことを要求しています。(Jetro)

5. その他、輸出実績の確認をする

売主(輸出者)が輸出販売の経験があるか等の情報も重要です。
不慣れな企業だと、輸出梱包の不備、また輸出書類(INVOICEやPACKING LIST 等)の不備が頻繁に起こる可能性が高く、事前に日本側から具体的な指示をする必要が出てきます。
また、コストを抑える為に安価な薄いダンボールを使用した場合、輸送中のダメージに繋がる可能性が高いです。
国際輸送では、有る程度の強度が期待出来る、ダブルカートンが基本となります。
商品のダメージを未然に防ぐために、商品発送前に梱包状態の写真を送ってもらい確認することも有効です。

国際物流の進め方 まとめ

貿易条件、輸送方法、梱包方法、輸出企業の輸出実績、ダンボールの強度 等、全体的に見ながら、国際物流を進めていく必要があります。
しかし何の問題もなく、最初から100%スムーズに行くことは極めて希と言ってよいでしょう。
梱包強度が弱く商品が壊れてしまったケースや、本来ならパレット梱包にすべき複数個の段ボールをバラで発送してしまった為に輸送途中で紛失してしまったケース、
また輸入商品の内容と輸入書類の不一致による税関検査により、数十万の検査費用を徴収されるケース 等、様々なトラブルを見てきました。
実際はどの企業も、売主(輸出者)と買主(輸入者)との間で、何度も何度も協議を重ねながら、改善を繰り返しています。
よって国際物流とは、時間を掛けながら「構築」していくものと言えます。

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