今回は、「海外展示会」について、御説明させて頂きます。
1、海外展示会とは?
海外展示会は、開催国のバイヤーをはじめ、世界中から関係者が一堂に会するとても貴重な機会となります。
自動車、重・軽工業、マテリアル、IT、医療、エレクトロニクス、食品、レジャー等、あらゆる産業の展示会がありますが、一般生活消費財の世界的に有名な展示会に、フランスで開催される(MAISON & OBJET)、ドイツで開催される(Ambiente)、中国で開催される(広州交易会)などがあります。
メゾン・エ・オブジェ パリ/MAISON&OBJET PARIS(M&O PARIS)
- 開催: 毎年1月と9月
- 開催地: 欧州/フランス/パリ
- 会場: Paris Nord Villepinte Exhibition Centre
アンビエンテ/Ambiente
- 開催: 毎年2月 ※年度により開催時期が異なることがございます。
- 開催地: 欧州/ドイツ/フランクフルト
- 会場: ドイツ・フランクフルト国際見本市会場
中国輸出入商品交易会(広州交易会)
- 開催: 春と秋の2回(第104回より会期は三期制)
- 開催地: アジア/中国/広州
- 会場: 中国輸出入商品交易会展示館
海外展示会出展の大きなメリットとして、直接バイヤーと話すことができ、その場で商談を進めることが出来ます。
また、自社商品を直接見てもらうことで、その反応から、その国や地域のニーズを知ることが出来ます。
現在はインターネット販売が急速に伸びていますが、実際に手に取って確認が必要な商品、また直接自分の目で確認したいバイヤーは数多くいます。
更に、多くの人に見てもらうことで出来るので、自社ブランド・自社商品の知名度をアップするには絶好の機会と言えます。
2、海外展示会向けの貨物輸送の注意点
一般貨物輸送との大きな違いは、展示会期が決まっているため遅延が許されない、また国・展示会ごとに異なる保税輸入の仕組みや展示会場内の荷役作業ルールがありとても煩雑という点です。
先ず、展示会会期から逆算し、余裕を持ったスケジュールで船便/航空便の手配を進めます。
輸送梱包の注意事項は下記の通りです。
*出展品に傷等が付かない様に、海外輸送に耐えうる頑丈な梱包(木箱、パレット等)が必要です。出展品に傷が付いてしまったら何にもなりません。
*塗料、高圧ガス、シンナー、接着剤等の危険品は危険品輸送扱いとなり一般輸送品と同梱ができないので、注意が必要です。
*木材(針葉樹)を使用されている梱包材の場合は、燻蒸処理とIPPCマークの刻印が必要です。
*高額なアクセサリー等の貴重品の同梱は危険ですので、お止め下さい。
*展示会終了後には出展者様にて再梱包をして頂く必要があります。ガムテープ、エアキャップ等の梱包材は消耗品扱いとして往路に同梱が必要です。
現地の港/空港へ到着した貨物は、通関手続後に搬出され、展示会場の搬入指定日時にブースへ納品されます。
開梱後はブースに商品を並べ、いよいよ展示会のスタートです。
3、ATAカルネ
ATAカルネとは、ATA条約(物品の一時輸入のため通関手帳に関する条約)に基づく通関手帳のことですが、これを用いて、展示会への出展品や備品等などの物品を外国へ一時的に持ち込む場合、当該外国への輸入税の支払や保証金の提供が不要となります。
ATAカルネを利用する場合、貨物を一時輸入しようとする国がATA条約に加盟している必要がありますので、事前に確認をする必要があります。(加盟国は約80ヵ国)
1つのカルネで通関手続の異なる数カ国の税関の手続が容易になるため、非常に便利な制度と言えます。
条件として、日本から輸出したそのままの性質・形状・数量で再輸入する事が義務付けられていますので、注意が必要です。