今回は、実際に発生した輸入時のトラブルについて、ご紹介させて頂きます。
1、税関検査
ある会社様は40フィートコンテナで自転車の完成品を約300台輸入しました。
輸入実績があまりなかったこともあり、輸入時に税関検査となりました。
(輸出入者符号を持ち、定期的に輸出入している会社様は、実績を積んでいくことにより、税関検査になる可能性は低くなります。)
税関でX線検査を行ったところ、輸入書類(INVOICEやPACKING LIST等)に記載のない、自転車のパーツが数多く発見されました。
当然ではありますが、税関の指示によりコンテナは開けられ、全数中身のチェックをされました。
実物の数量確認、理由書の提出、輸入書類の修正等、結果的に2週間以上コンテナは止められ、保管料も含め税関検査費用として数十万が徴収され、一瞬にして利益が飛んだという案件でした。
輸出者に確認をしたところコンテナにスペースが発生した為、あくまで好意として、ハンドル、サドル、タイヤ等のサンプルを大量に載せたようです。
もちろん最初からINVOICEやPACKING LISTにサンプル品の記載があれば問題ないのですが、実物と書類の不一致はこの様に大問題となります。
輸出にあまり慣れていない企業から輸入する場合には、事前に確認をしながら輸入を進めることをお勧め致します。
また無償サンプル品に関して、INVOICE上の金額は0で問題ないという認識の方が多くおられますが、0では通関が通りません。
無償サンプル品で決済が生じなくても、適当な金額をINVOICEに記載する必要があります。
2、商品の紛失
ある会社様は、オランダから国際宅配便にてインテリア商品を輸入しました。
ダンボール7個口だったのですが、特に一まとめにすることなく、シッパーよりそのままの形態で発送してもらいました。
しかし、輸送途中でその内の1個が紛失してしまいました。
紛失理由が分からず、商品代金は物流業者に補償してもらいましたが、状況によってはお客様に多大な迷惑をお掛けし、大問題に発展するケースがあります。
当然梱包費用は別途発生しますし、また梱包容積や重量のアップに伴い輸送費も若干増えますが、貨物の紛失を防ぐ為、荷役作業を行い易くする為、また貨物に傷が付きづらくするという観点からパレット梱包にする事をお勧めしています。
パレット梱包について詳しくはこちらの記事https://a-s-j.jp/2022/02/lojistics/
3、商品の破損
ある会社様は中国から割れ物のインテリア商品を船便で輸入しました。
壊れ易い商品にも関わらず、パレット梱包をせず、使用されていたダンボールもとても薄いシングルカートンで、更に商品のダメージを防ぐ緩衝材も入っていなかったので、全体の約50%が割れた状態で納入されました。
輸送に耐えうる梱包をするのは輸出者の義務になりますが、全くその事を理解していない梱包状態でした。
輸入者側で貨物海上保険に入っていましたが、保険会社の判断により、この梱包では保険適用にならず、輸入者は大損害を受けました。
(もちろんこの様なケースが発生した場合には輸出者と輸入者との交渉になりますが、すんなり非を認め損害金額を払ってくれる海外企業はほとんどいないと思われます。)
輸出者が過去に輸出経験があるかどうかも重要ですし、また商品出荷前に梱包状態の写真を送ってもらい、輸入者側で事前にチェックすることも重要です。
なかなか輸出梱包のところまで気が回らないのが現実ですが、貿易において輸出梱包はとても重要だと言えます。
4、納品時のトラブル
最後に納品時によく有るトラブルについて、ご説明させて頂きます。
20フィートコンテナや40フィートコンテナで輸入した場合は、そのまま工場や倉庫へ運び、その場で荷卸しする流れが一番スムーズです。
しかし、納品場所にスペースの余裕がなく、コンテナでそのまま納品しようと思ったが荷卸しが出来ず、結果的にトラックへ積み替えて納品するというケースがございます。
20フィートコンテナはヘッド部分も含め約8m、40フィートコンテナは約14mもあります。予め納品場所のスペースの確認を行う必要があります。
また、認識の違いでよく見受けられるのが、納品時は車上渡し条件ということです。
コンテナ納品の場合、指定場所にコンテナを着け、ドライバーはコンテナの扉を開きますが、そこからの荷卸し作業は輸入者様が行います。
当然ある程度の人手が必要ですし、機械等の重量貨物の場合はフォークリストも必要になります。
船便のLCLや航空便で輸入した貨物は港や空港からトラックで納品されることになりますが、この場合も基本的には車上渡し条件ですので、荷卸しに必要な人員やフォークリスト等が必要になります。
また、梱包に使用されている梱包材(パレット、木枠、木箱)が不要な場合は、荷卸し後、そのままトラック業者に引き取ってもらうことも可能ですが、別途廃材処理費用が発生いたします。
納品トラックの種類は一般的に2t、4t、10tがあり、納品時間が指定出来るチャーターも可能ですが、少量貨物の場合は、混載トラック(時間指定不可)の手配も可能です。納品場所の状況によっては、パワーゲート車やユニック車の手配が必要になります。