今回は貿易の規制について解説いたします。
1.輸出規制及び禁止貨物
日本では「外為法」*1という法律に基づき輸出規制が行われており、下記の規制に該当する輸出には事前の許可が必要になります。
*1外為法は、対外取引の正常な発展、我が国や国際社会の平和・安全の維持などを目的に外国為替や外国貿易などの対外取引の管理や調整を行うための法律です。
【リスト規制】
- 兵器そのもの
- 兵器もしくはその一部になりそうな高い性能を持つ汎用品
- 兵器の開発などにも利用できる高い性能を持つ汎用品
- ※15項目にリストアップされており、当該仕様に該当するかしないかの判定 (該非判定)を行う。
【キャッチオール規制】
リスト規制品に該当するもの以外(木材、食料品などを除く)の輸出にあって、その用途や需要者に兵器の開発に関する懸念がある場合。
また、下記の4点が「関税法」により輸出禁止になっています。
1. 麻薬、大麻、覚せい剤 等
2. 児童ポルノ
3. 特許権、実用新案権、意匠権、著作権、著作隣接権等を侵害する物品
4. 不正競争防止法違反物品(他人の商品等表示の類似品・模倣品 等)
2.日本における輸入規制
日本では以下の物について、「関税法」により輸入が禁止されています。
- 1. 麻薬、大麻、覚せい剤 等
- 2. 指定薬物(医療等の用途に供するために輸入するものを除く)
- 3. けん銃、機関銃 等
- 4. 爆発物
- 5. 火薬類
- 6. 化学兵器 等
- 7. 感染症に対する病原体 等
- 8. 貨幣、紙幣等の偽造品、模造品
- 9. 公安や風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物 等
- 10. 児童ポルノ
- 11. 特許権、実用新案権、意匠権、著作権、著作隣接件等を侵害する物品
- 12. 不正競争防止法に掲げる行為を組成する物品
- ※外為法により、特定の貨物に対し承認または確認を義務付けている。
- ※医薬品や化粧品等は「薬機法(旧薬事法)」により厚生労働省の許可を受けたもの、食品の場合は「食品衛生法」により成分、添加物等が我が国の基準に合ったものしか輸入が出来ない。
3.その他 木製梱包材規則
木材の病害虫が輸入貨物の梱包材に付着して国内に侵入することを予防するため、海外から輸入される貨物の木製梱包材に燻蒸等の消毒処理を義務付けています。
木製梱包材について詳しくは過去の記事「国際物流の進め方」からご確認できます。
日本、EU、オーストラリア、米国、カナダ、韓国等80カ国で要求されており、今後益々この動きは広がっていきます。燻蒸処理をされていない梱包材を使用した場合、税関で止められ、輸出入出来ない場合もあります。
また、上記の理由から、特に規制のないプラスチックパレットが主流になってきています。
4.まとめ
日本では日本の規制がある通り、各国によって規制は様々で、中国では、2011年の東日本大震災以降、10都県(福島、栃木、群馬、茨城、千葉、宮城、新潟、長野、埼玉、東京)の全ての食品・飼料の輸入を停止(新潟のコメは除く)しており、10都県以外でも青果物、茶等が実質輸入停止となっています。
韓国では特定の物品(輸入総品目数の50%以上が該当)について、輸入の際に原産地表示が義務付けられていますし、サウジアラビア税関では、個々の商品に原産国表記をすることを義務化にし、原産地表示のないものには罰金が課されることになっています。
また、中南米、中近東、欧州の一部の国向けに貨物を輸出する場合、原産国の特定や書類偽造防止などを目的として、インボイスと原産地証明書への領事査証が必要とされています。
輸出や輸入をスタートする前に、各国の規制をきちんと確認してから進める必要があります。